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人工天体ミラパール 5

  1. 私小説
2026/10/02

マザーの報告では鉱員の住んでいた、廃屋の北西に僅かだが弱点が見つかり、掘り始めたがロンズデーライトでも中々進まないようだ。ここが勝負どころだ、原子核パスタを投入して、一気に掘り進めるしか無い。皆んなも時間との闘いだとわかっているだろうから必死だろう。テフテフが「私もチョンさんに掘削パーツを作って頂いてますので、土方仕事もいといませんので、デルキャンプさんと同様に掘り進めますわ。」「テフテフありがとう。だけど、ここから先は原子核パスタで中核を一気に破壊する。その後は高圧ホースで吸引する。だけど、あのキューマにはダイヤを一粒たりとも渡すつもりはない。全部持って行くから拾ってくれ。」「了解ですわ。あの業突く張りに一泡吹かせましょう。」「業突く張りか!テフテフはいろんな言葉を知ってるんだな、感心するよ。」

作業は難航しているようだ。「どうだ、シューリッツ。初めはソニックとロンズデーライトで楽に掘り進められたけど、密度の高い層にぶつかって進んでない。」「わかった。こっから先はパスタで攻略するから、一旦引き上げてくれ。」チョンにパスタの準備を頼んでセッティングしてもらった。「じゃあ、皆んな行くぞ!」スイッチを入れると衝撃と共に爆音が轟いた。スコープを入れたが、煙幕で何も見えない。「煙を吸い出せ」パイプからは濛々と煙が吸い出されている。「見えたぞ。」直径90mの穴が奥まで続いている。「スコープを奥へ入れろ。」中核を突破して深部のシードダイヤの層に届いている。「皆んな急げ。チョンは高圧ホース投入。シューリッツは急いで鑑定して、ロボコンに回して圧縮させろ、ロボコンはJJに回して研がせろ、テフテフはJJを手伝ってやれ。デルキャンプは高圧ホースを止めたら、中に入ってくれ、テフテフとロボコンも入れるから。マザーは進捗状況を皆んなに知らせつつ、タイムキーパーを頼む。」高圧ホースにロンズデーライトの破壊用プロペラを装着してダイヤのコアを破壊しながら内部を暴れ回って崩壊を促進している。一旦ホースを止め、ダイヤを吸引、それを繰り返している。亜空間で時間を短縮、高圧縮してシードからダイヤを絞り出し、1つjjに研磨させた。高純度で透明感のあるダイヤはブリリアントカットの58面で仕上げた。惚れ惚れするほどのうつくしさだった。9日目を迎えたが、ほぼ掘り尽くした。最後は全員でシードを拾ってブラックバードへ帰還した。だが、最後の大仕事が残っている。星の入れ替えだ。しかし、フラワーはあまり元気が無かった。「どうしたんだフラワー、ここん所、元気が無いが具合でも悪いのか?」「大丈夫、でも星の入れ替えが済んだら早くバカンスに行こう。少しゆっくりしたいの。それまでは頑張るから」「うん、わかった。じゃあ早速スペースジョウを頼む」この別宇宙からいつもの宇宙に衛星ヌモースを入れ替えた。その足でゾークに「キューマに期限の10日だから明け渡すと伝えてくれ」それだけ言ってヌモースを離れた。「チョン。急いでコスモ中央、座標××××にアルクビエレドライブしてくれ」「キャプテン、そこがバカンスの星アルカ。」「そうだ。だけどコスモ中央までは、相当時間がかかるからマザーに任せてスリープモードで行こう。

カプセルのハッチが開いて外の空気を吸い込む時は、いつも違和感がある。鈍い頭の感覚がもどかしいが、とにかく声を出してみる。「おーい皆んな起きてるか?」一様に、「うーんとか、あーっ」などと声を出している。まぁ生きている様だ。あっ、と気がついて飛び起きた。「そうだ、フラワーは具合が悪そうだった。」フラワーのカプセルに駆け寄り声をかけた。「フラワー、大丈夫か?」「うーん、おはようダーリン。あたしは大丈夫。よく寝たら、随分良くなった」「起きられるかい。」「うん。」各々冴えない頭を抱えてコントロールルームに集まってきた。リカバリードリンクを飲んで脳と神経、筋肉他あらゆる機能の回復に半日ほど努めた。「マザーあと、どれくらいでミラパールに着く。」「シールドを解除して6時間後です。」「異常は無いか?」「ナンシーと更新しましたが、異常は有りません。」「わかった。ロボコン、皆んなのバイタルチェックを頼む」「リョウカイデス」「悪いけど、フラワーから始めてくれ」「ナニカキニナルコトガアルンデスカ、キャプテン」「分からないけど、ここ、しばらくフラワーの様子がおかしいんだ、スキャンもしておいてくれ」「カシコマリマシタ」全員のチェックが終わってから、ロボコンが「キャプテン、タイヘンデス。フラワーサマガ、ニンシンシテイマス。」コーヒーを吹き出した「妊娠?そんなわけないだろ。・・・だって俺たち、あれして無いんだよ。出来るわけないだろ。」「シカシ、スキャン デモ カクニンサレマシタ。マチガイアリマセン。」「ロボコン、フラワーを俺の部屋に呼んでくれ。」マーバロンは動揺していた。そんな様子は皆無だが、もしかして浮気でもされたのかと。いくら考えても分からない、やはり本人に問いただしてみなければ。しばらくするとノックの音がした。「どうぞ。」フラワーだった。俯いたまま部屋に入ってきた。だが、どうやって問いただしていいのか考え付かなかった。「ごめんね、ダーリン。」いきなり謝られた。心臓がドキリと跳ねた、嫌な予感は的中したのか。「私ね、いつもダーリンの頭を撫ぜてるでしょ。(ほんとは舐めてる)その時はいつも夢を見せてるの。夢の中でダーリンは私を可愛がってくれてるでしょ、でもね、ずっと可愛がってもらってたら、なんだか愛おしくなってしまって、私・・・ほんとにしちゃったの!だから出来ちゃった。」衝撃だった。何もかもが意表を突いていた。誰かと浮気をしていると疑っていたことも、夢の中だけで愛し合っていたと思っていた事が、実は本当の事だったことも、違う種族の2人に子供が出来た事も想像を遥かに超越していた。「本当に僕らの子供なの?」「当たり前じゃ無い、ダーリンの子供よ」フラワーを抱きしめた。「ありがとう、フラワー。本当に嬉しいよ。だけど、どうして早く言ってくれなかったの?」「だって、ダーリンは大事な仕事中でしょう、他の皆んなと違って私に出来る事はあんまり無いから。だから、この仕事が終わってからにしようと思って。」「何言ってんだよ、フラワーが一番大仕事をしたんだぜ、星をすり替えるなんて事、フラワー以外に出来ないでしょ。」「本当に??良かった。」「ところでフラワー、いつ生まれるの?」「もういつでもいいわよ」「?いつでもいい?どうゆう事。」「私ね、取りあえずぅ、卵で産むから」さらに衝撃と動揺が走った。「たたた卵で産むぅ・・.」ヤバかった。とてつもない想像をした。卵を産んで、卵から出てきたのがトカゲみたいだったらどうしよう。俺はフラワーの本当の姿を見た事が無い。我らが種族の1番美しく、俺好みな女子を俺の網膜に映す能力で今日まで来た。せっかく生まれてきたのに、鳥やトカゲを可愛がれるだろうか?不安だった。「ダーリン今、変な想像してたでしょ。」「いや、そんな事は・・・」「ダーリンの頭の中の事はお見通しよ!だけど、大丈夫だから心配しないで、きっとダーリンに似た可愛い子が生まれるわよ」半信半疑ながらフラワーを信じる事にする。「さぁ、食事に行こう。」食堂には、もう皆んなが集まっていた。「皆んな聞いてくれ、突然だが、うちのハニーが妊娠した。もう直ぐ子供が生まれる。もう、間も無くミラパールに到着する。急な事だが俺たちの結婚披露&ベビーの誕生パーティーを執り行う。祝ってくれると嬉しい。」その言葉に一同が静まり返った。JJが「えっ!生まれるの?、赤ん坊が?そんな事あるの?どうやって?」「おいおい、JJどうやってって聞いた?」マーバロンは「それはね。卵でだよ。」もはやカオスだった。

ブラックバードは無事にミラパールに到着した。ターミナルにはナンシーがクラッシックなオープンカー、テラの西暦1957年のシボレーで出迎えてくれた。「お帰りなさい、ご主人様。お迎えに参りました。」「ありがとうナンシー。あれが、俺の新しいメンバーだ。」「楽しそうですね、皆さん。」「楽しいかは別として、ホットでおバカなクルーだよ。おーい皆んな、お前らは全員そのバスに荷物を載せて乗り込んでくれ。自動運転だから、乗ってりゃ、着くから海辺の景色を楽しんでくれ。

「それでナンシー、これが俺の奥さん。結婚相手のフラワー!仲良くしてくれ。」「奥様、ご結婚おめでとうございます。私はハウスキーパー兼この星の管理全般を任せていただいています。アンドロイドのナンシーでございます。奥様何なりとお申し付けくださいね。」「ありがとう、ナンシー仲良くしてね」「さあナンシー、車を運転してくれ。俺とフラワーは後ろに乗る、ゆっくり運転してくれ、フラワーは妊娠しているんだ。」「本当ですか奥様、安全運転で参ります。」車は小さな湾の縁をなぞるように走っていった。海辺の丘の上に白い建物が見える、あれがこの星のマーバロンの棲家だ。ゆっくりと坂を登り、建物の前の門に止まった。ナンシーがハンドル下のスイッチを入れると、門が開いた。オープンカーと自動操縦のバスが入ると、また扉は勝手に閉まった。玄関前の広場に車とバスを停め、ナンシーの案内で各々部屋に入った。ロボコンとテフテフをナンシーに引き合わせた。3機でマザーと連携してフラワーの健康状態を見るように頼んだ。

マーバロンはフラワーと共に部屋の前に立った。「さぁ、フラワー扉を開けて。」フラワーはドアノブを回し、扉を押し開いた。扉の正面には大きな窓があり、その向こうには青い空とキラキラと輝く海が見えていた。「すごく綺麗、こんな部屋見た事ない。」窓際に進みテラスの扉を開けて、手すりまで進むと、マーバロンは下を見てご覧。」そこには様々な大きなプールがあり、カーブを描きながら外周を流れて回るプール、滑り台付きのプール、サーフィンが出来る波乗りプールなどが眼下に見える。「明日のお昼はナンシーに頼んでプールサイドでバーベキューにしょう!」邸内を流れる放送で「一階のプールサイドへ皆様、お集まりください。」と放送が流れた。マーバロンとフラワーも一階のプールサイドへ行ってみると、豪華な料理とワインクーラーには冷えたシャンパンが頭をもたげている。さっきまで無かったハイビスカスやブーゲンビリアの鉢もプールサイドを飾っている。キチンとメイド服を着たナンシーが「皆様、お帰りなさいませ。大した物ではありませんが、料理とお酒でゆっくりとお疲れを癒してください。」と告げた。「俺が頼まなくてもナンシーは準備してくれてたんだな。」「それでは只今よりミラパール帰還、及びシードダイヤのcomplete・excavate(完全掘削)ベビー誕生を祝しまして。キャプテンより一言、お願いします。」「えっ、そんな挨拶するなんて聞いてないけど・・しょうがねえな。ゴホン、えー。ボールザイオンのメンバー諸君お疲れ様でした。このメンバーによる掘削は初めてであり、各自の技術、能力を最大限に発揮しなければ、シードダイヤを余す事なく集める事はできなかった事でしょう。であるからでありまして、掘削というものは・・・」「やめろ」「帰れ」「うんこ」「ハゲ」「おまえの母ちゃんでべそ」「オヤジのアブラ」「・・・うるさい!勝手な事ほざきやがって、”やめろ”、”帰れ”はいいよ、だけどゆるせんのはオヤジのアブラだ、誰が言ったんだあぁっ。」JJだよ、ちがうよ、デルキャンプさ、バカ言えシューリッツじゃ無いのか、チョンだよチョン!その時、静かにテフテフが「タケチヨが言いました。間違いありません。」親指を立てたマーバロンはその親指を首の前で横に引いた。メンバー全員がタケチヨに飛びかかった。手足を捕まえて、そのままプールへ引っ張って行った。」せーの!」の掛け声でプールに放り投げた。派手な水飛沫を上げてタケチヨは落ちた。そして皆んなも待ってましたとばかりにアロハも短パンも脱ぎ捨てプールに飛び込んだ。水を掛け合うやら、潜って脚を引っ張るやら、やりたい放題だ。テフテフもナンシーもカーボンナノチューブで出来ているので、ほぼ人の平均的な女性と同じ軽さで出来ているので、テフテフにデルキャンプが襲いかかった。テフテフをお姫様抱っこ風に抱き上げたが、プールに放り込もうとした瞬間、放した手を逆に引っ張られ、もんどり打って頭からプールに突っ込んだ。テフテフはパンパンと手を打って「10年早いわ」とドヤ顔だが、後ろからマーバロンに押されて、やはり飛び込んだ。顔を出したテフテフは「もう。と言ったが何やらモゴモゴしたかと思うと、着ていたメイド服を脱いで、プールサイドに放り投げた。それからおもむろにクロールで泳ぎ出した。その白の水着姿にヒャッホーと雄叫びを上げ、今度はテフテフを野郎どもが追いかけている。圧巻だったのは、デルキャンプの泳ぎだ。6本の腕で泳ぐクロールはテフテフに追い詰めるほどの泳ぎだった。それをプールサイドからマーバロンとフラワーは笑いながら見ている。フラワーが見つめてくる。「いいバカンスね。」「ずっとフラワーをここへ連れて来たかった」ナンシーが「奥様、フルーツや生搾りのジュースはいかがですか?」「ありがとうナンシー。でもね、私のことはフラワーって呼んでちょうだい、本当に気を遣わなくていいから、友達みたいでいて、ナンシー。」「ありがとう、フラワー。」椰子が木陰を作っていた。マーバロンはしばらくここで過ごそうと遠くを見つめた。