オペレーションルームで始まった、ミーティングはすでに3時間が過ぎていた。確かにシードダイヤはあるだろう。マザーの報告からも中核の下に物質の反応がある。ただ、地上に投下したロボコンの詳細なデータからは弱点はまだ見つかっていない。どうやらあの中核のタングステンは1000℃以上の温度をかけなければ攻略出来ない。でも、1000℃をかければ、シードダイヤは消滅する。高温度で、高圧力なガスを一点集中して、一部のダイヤは消滅するだろうが、穴を開ければ採取は出来る。問題は時間だ。その事をメンバー全員に伝えた。皆の反応はかんばしく無い。その時、フラワーが「その星をすり替えて時間を稼げばいいのよ。先にすり替えて、交渉に時間をかける。掘り終えた頃に元に戻せばいい。」皆んな、ポカンとしている。「どう言う事だ。」「難しい事じゃ無いよ、私がスペースジョウでその星を取り込んで別の宇宙にキープするでしょ、それでその別の宇宙から、似た様な星を持ってきて置いておけばいいのよ。なんならすり替えたままでもいいじゃ無い、ばれやしないわよ。大気もない様な星に見張りを置いてないでしょ!」「いいのかフラワー?」「でもね、ダーリン。この仕事が終わったらバカンスに連れてって」「もちろんだよ、そうだね最近フラワーは少し疲れているみたいだから、俺の秘密のリゾート星で思いっきり楽しもう」「どんな星なの?」「青い空、白い砂浜、椰子の木陰にそよ風が吹く。林の向こうの丘には白い洋館風の別荘!もちろんプールもある。」「お昼はラム肉やシーフードでバーベキュー、夜はプールサイドでシャンパン・パーティしよう」「行きたい!」「キャプテン、俺たちも連れてってくれよ。」「もちろん全員で。だけど、この仕事が首尾よく済んでからだ。」JJがはしゃぐ。「よし!楽しみだ。俺、海を見た事がないんだぁ」マーバロンは”パン”と手を叩いた。「よし、今度のシードダイヤの作戦はこうだ。先ずは・・・」ザッと大まかな作戦を皆んなに告げた。細かいところまで全員の役割をマザーと決めていく。明日は仲介者のゾークに所有者を紹介してもらう。フラワーは今すぐ、ヌモースと同じ大きさで、同じくらいの質量の星を別宇宙で探して置いてくれ。テフテフはフラワーの補佐についてくれ、シューリッツはロボコンとマザーといっしょにもう一度弱点の洗い出しだ。JJとデルキャンプとチョンは工作ドロイドと各種、掘削機の整備点検だ。チョンがリーダーで指示を出してくれ。皆んな手が空いたらチョンの手伝いを頼む。」「俺は、俺は」とタケチヨが勇んで聞いてくる。「お前は飯だ!皆んなの胃袋を満足させるのが、お前の仕事だ。」「分かったゴフ」「よしタケチヨ。昼飯に取り掛れ!」「イエッサー」タケチヨは駆け出した。
シューリッツの報告にロボコンが補佐をして、弱点と掘削の方法が述べられた。やはり、ソニックが有効のようだ。その星の一点にソニックを集中させ、ロンズデーライトのドリルで針の穴を通す様な穴を開け、ソニックを繰り返し、原子核パスタのドリルで短時間で中核は突破出来る。あとはドリルのホースに高速でエアを送り、中を自由気ままに暴れてもらう、原子核パスタのプロペラがダイヤ層を破壊しながら暴れ、今度はそれを吸い出すって寸法だ。」「マザーには俺の重機や掘削の材料は報告してあるから。」シューリッツは、その方法よりも「よくそんな原子核パスタのドリルなんてどこで手に入れたんだ?」と、皆も口々に言う。「その話はシードダイヤを手に入れて、バカンスに繰り出した時にでも話すよ。じゃあ、俺はこれからゾークに取り次いでもらう。俺の補佐はテフテフだけでいい、あとのメンバーはフラワーを補佐してヌモースと他の星を入れ替えといてくれ、入れ替えたらブラックバードごと別の宇宙に飛んで採掘を頼む。時間勝負だ、いいか!」「キャプテンも引き伸ばしといてくれよ」
ゾークには100000ブルの手数料を払って採掘の権利を持つキューマを紹介して、もらった。「初めまして、キューマさん。私は採掘をやってます。マーバロンと申します。よろしくお願いします。」「ああ、ゾーク君から聞いてるよ。中々の山師だと。」「いえいえ、まだまだかけだしの山師でございます。お手柔らかにお願いします。」「早速だが、本題に入ろう。ヌモースを掘りたいそうだな、君は掘れるのか?」「分かりません。先ずは現地を見させていただかないと決定は出せません。」「すでにタングステンは全て掘り出され、中核が残っているだけだ、衛星からの画像で分析は出来るだろう、いまさら現地を見なくても。」「キューマさん、今回の採掘は期限付きです。期間までに掘らなければ、我々に利益はありません。ゾークさんにも仲介料をお支払いしていますので、掘れるか掘れないかは現場を見て詳細なデータを集めなければ決定出来ません。」「マーバロン君、私は実業家だ。君が出来ないなら権利は他の者へ回すだけだ。」「キューマさん、私は出来ないと言っているのではありません。現にチャレンジした山師もいたでしょう、しかし、現実には掘れていない。採掘の計画、難易度、さらに道具や工夫は自前、手数料に権利と期限。現場は見せてもらえない。これでは掘れる山師などいません。実業家と仰るなら、私たちの立場になって緻密な計画立案をご検討ください。そうでなければいつまで経ってもシードダイヤは掘れませんよ。」「知っていたのか、シードダイヤがある事を。」「出来る山師なら。」「・・・」「では、キューマさん。ご検討ください。」マーバロンはその場を後にした。表に出てゾークが「あんなこと言って大丈夫か?他の山師に持っていかれるんじゃないのか」と心配したが、「ダメならお前が手数料を俺からせしめて、1人勝ち。それでもキューマがまともな実業家なら、必ず声を掛けてくる。それまではお前の店でやり過ごそう」ゾークの店には、あの腕のいいミュールと言うアンドロイドが立っていた。「いらっしゃいませ、マーバロン様。交渉はいかがでした!」「いやぁ、相手も然る者、一筋縄ではいかないよ。」「しかし、マーバロン様は落胆なさってはいません。手応えがお有りなのでしょう?」「ミュールは何でもお見通しかよ。これじゃあ、優しく宥めてももらえないよ。」「だろっ。出来すぎるのも困ったもんだよ。だけど、本当にダメな時は労わり方がハンパない。ゾーク様、ゾーク様って」「まあ、ゾーク様はその様な事を仰って、もう労わるのは辞めます。」「いや、そうじゃ無いんだミュール、ミュールが居なければ俺は生きてはいけないんだから、勘弁してくれよ。」「いいえ、ゾーク様は私をただのお手伝いさんか何かとしか思ってらっしゃらない・・・」俺をそっちのけで、漫才を見ている様で面白かったが、内心、計画はすでに動き始めている事からジリジリとした焦りが胸をざわつかせた。その時、テフテフを通して通信が入った。シューリッツからだった。星のすり替えには手間がかかったが上手く行ったようだ。詳細はマザーからテフテフに送られてくる。最後にこれから弱点を探して、試し堀りをするとの事だ。通信を切ると、益々焦燥感が募った。テフテフが「必ず依頼が来ますよ。」と言ってくれた。
翌朝、ゾークから契約の話を詰めようとキューマから連絡があったそうだ。昨日と同様、ゾークとテフテフを連れてキューマの所へ出向いた。キューマは「マーバロン君、失礼かもしれないが、君のことを調べさせてもらったよ。君はサイゾウの弟子だそうだな。そっちの世界では名の通った山師だと」「私の名が通っているわけではありません。サイゾウの弟子と言う名が通っているだけです。」「だが、その師も亡くなられて、それを受け継いだ、一流だよ。」「一流でも二流でも良いのです。私にとっては掘れたか、掘れなかったかだけが全てです。」「じゃあ早速、話を進めよう。まず採掘の契約料は5000万ブル、契約期間は10日だ」「短すぎる、現地視察も兼ねて3週間くれ」「そんな期間を与えたら、君ほどの山師なら全部掘り出してしまうだろう。私の取り分が無くなる。」「無理だ、せめて2週間の時間をくれないと受けられない」「・・・君の過去の採掘の資料を見たよ、ロンズデーライトの掘削機を持っているんだろう。ダイヤモンドよりも58%も硬い物質で掘削されたら10日でも多いくらいだ。でも君なら必ず穴は開けてくれる。穴さえ開けてくれたら最低でも10%は保証する。10日で受けてくれないかね。」「50000万ブルの採掘料を払って掘っても雀の涙か、あんたには負けたよ。だが、そこまで調べがついてるなら俺は好きに掘らせてもらうぜ、文句は無いよな。」「ああ、好きに掘ってくれ。明日の午後12時から10日間だ」ゾークと別れ、テフテフに急いでロボコンに繋いでもらった。「攻略出来たか?ロボコン。」「イマ、ホッテマス。」「皆んなに伝えてくれ、頑張ったが明日の午後12時から10日間がタイムリミットだ、フラワーとブラックバードを迎えに寄越してくれ」「リョウカイ。」
