ミネラルロードの始まりは西宇宙の26000もの近接した星々が集まったザルフ星団からだ。そのザルフにはあらゆる鉱物が集まり精製、圧縮、加工、研磨および品質管理など各々の星で鉱物が生成されている。だが、ザレフで1番重要な事は鉱物の情報である。星団の中の、ピックル星にミネラルロードの鉱物情報が集まる、旅の拠点でもある。
「情報収集だ。手分けして情報を集めよう。俺はロボコンとチョンを連れて行く。シューリッツはフラワーとデルキャンプと組んでくれ。テフテフとJJはタケチヨを連れて行ってくれ。リーダーは俺、シューリッツ、テフテフ。鉱石の種類と鉱脈の大きさ、裏情報と金額、それから、あまりミネラルロードの東し向こうの情報はいらない。フラワーとテフテフは体温や表情、その他の方法で情報の真偽を判断してくれ、決定は出すなよ。ボスと相談するって言ってくれ。じゃあワッツの酒場で会おう。3組のチームは別れた。「キャプテン、アイツら大丈夫アルカ?」 「シューリッツのチームにはフラワーがいるから、中身の情報収集は大丈夫だろう。問題はテフテフのチームだ。未だテフテフの能力は未知数だ。」 「キャプテン、俺、心配してないね、元々良いAIだし、マザーと連動してるから大きな失敗は無いね。」 「チョンのお墨付きがあれば大丈夫か!まぁ、決定する訳じゃないしな」 「キャプテン、俺たち一番やばいかもアルヨ」 「だよねぇー。気を引き締めて掛からないと」 「キャプテン、オマチクダサイ。ワタシ、ヤクタタズデハ、アリマセン。24マンノ、ウチュウゲンゴ、ハッカン、タイオン、ヒョウジョウ、ナドノ、カクシュブンセキ、チシツガクテキジョウホウナドヲソナエテオリマス。カナラズヤスバラシイ、ジョウホウ、オトドケシマス。」 「ロボコン、いや、すまなかった。ただ、相手もAIを駆使してくるだろうし、お前の力は必要だ。フォローを頼むぜ」「マカセトケ」
ミネラルインフォーメーションハブには山師が多く集っている。ユニオンに属している情報は3Dのビィルトインボードに展開されて情報が開示されているが、掘り出しても半分はユニオンに持っていかれるので、駆け出しの山師が担うことが多い。その隣にあるクラップストーン(くだらない石)は情報屋と山師の集会場のようなハブだ。ドアを開けると一斉に視線が注がれる。真っ直ぐにカウンターに進み、給仕のアンドロイドにコクラは来てるか?と聞いてみた。「奥の部屋でうちのボスと飲んでます。」 「そうか、バーボン2つくれ」 「お持ちします。テーブルでどうぞ」ちびちびと舐める様に飲んでいたが、周りのテーブルからチラチラと視線が刺さる。その時カウンターの横にあるドアから男が二人出て来た。1人はこの店の主人、ゾーク。もう1人はコクラだった。「随分長話だったなぁ。良いミャクでも見つけたのか?」店中の視線を集めたが、声をかけて来たのは1人だった。「なんだマーバロンか、いつ来た。」 「さっきだ」 「来てるなら、声をかけてくれりゃあ良かったのに。」 「ゾークと奥で飲んでるって聞いたから邪魔しちゃ悪いと思ってな」 「なんだよ、さっきもコクラとお前の事話してたんだぜ。そろそろ来るんじゃねえかって。」 「本当か?俺は鼻が効くから、稼ぎの良さそうな話があるんじゃないかと思ってなぁ」相変わらず視線を集めていたが「奥に来いよ、良い話があるから」・・コクラの声に立ち上がった。」その時、別のテーブルから、「俺たちには良い話は無いのかよ」と今度はその男が視線を集めた。店主のゾークがやめとけよ、仕事が欲しけりゃユニオンで貰えよ。お前に回せる仕事はウチには無い。」「そいつには回せてもか?」 「おい、青二歳。大した実績もねえ奴が、デカい口叩くんじゃねえよ」 「やってみなきゃわかんねえだろ。」 「やってみなきゃわかんねえ様な奴に仕事を頼めるか!、俺たちの世界は信用だぜ。確実にこなせなきゃ仕事は回せねえよ。」青二歳と言われた男はレーザーガンを抜いた。マーバロンも左腕に仕込んであるサイコガンを抜いた。だが、男のレーザーガンを射抜いたのはカウンターの内側にいたアンドロイドだった。見ればゾークもコクラも抜いていた。ロボコンも連射式の銃を。静まり返った店内でゾークは「動くなよ、今度は頭を撃ち抜くぞ。」そうしている間に入り口からセキュリティガードがワラワラと入って来て男とその仲間を連れ出した。「ゾーク、受付嬢は良い腕してんなぁ。あんな美しい顔で間髪入れず打ち抜けるなんて、惚れ惚れするぜ」「それに仕事も出来る。」 「ミュール、店番は頼んだぜ。俺は奥で2人と打ち合わせだ。」店の客は半分ほどが出て行った。ミュールと呼ばれたアンドロイドは笑みを浮かべて「ハイ、ゾーク様。お任せ下さい」とゾークを見つめた。マーバロン、ゾーク、コクラとチョンはテーブルに着いた。ロボコンはその後ろでお地蔵さんの様に固まっている。
「それでゾーク、良い話ってのはどんな芽が出てるんだ。」「俺が変わるぜ。」コクラが話し出した。「東に3光年ほどの所にベクターって星がある、そいつは衛星を持ってて、それが衛星ヌモース。この衛星は昔からタングステンが掘り出されていた。だけど、とうに掘り出されて中核と残土だけになってた。ところがその中核の中に見つかったのが・・」 「なんだよ、さっさと言えよ。」 「シードダイヤだ。だけど問題なのはその中核は超硬度のタングステンで出来てて、穴を開けるのも大変らしい。さらに採掘権はキューマが持ってる」 「あの実業家の?」 「ああ、だが、採掘の権利を買っても期限があって、やっと穴を掘った頃には期限切れって事になりかねない。だから、どんな山師も手を出さない。今の所、宝の持ち腐れなんだ。」ゾークが続ける 「そこで、サイゾウとマーバロンが浮かんだんだ。親父とお前なら掘れるだろうって。んで、サイゾウの親父はどうした?」 「死んだ。五年前に」 「なんで?」「親父はマスクを嫌がってただろ、余程の鉱山じゃなきゃ、付けない。長年積もり積もった呼吸器の炎症で息が出来なくなって、くたばった。」 「ああ、ヌモースのシードダイヤはダメか・・」 「俺は掘れないとは言ってない!準備と交渉次第だ。今すぐに返事はできないが、返事は明日でも良いかゾーク。」 「ああ今の所、皆んな手をこまねいてる、2、3日なら確実だ。」 「了解、んじゃまた来るよ」マーバロンは席を立った。表に出てからチョンが、ボスどう思いますか?、先ずは現地調査だ。そうだな、ロボコンとマザーでヌモースに行って、上空からの画像と地質調査と弱点の洗い出しをやってもらおう。俺たちはホテルに移動して、各班の報告と利益率の算出だな。」
マザーとロボコンを乗せたブラックバードはヌモースに飛んだ。他のメンバーは必要なものを持ってワッツの酒場の上にある宿に移動して、早速情報収集の成果を報告する。「じゃあシューリッツから報告してくれ。」 「情報屋から仕入れたところによるとスーパートルマリンが東の12億7000万キロ先の惑星ペロンで発見されてます。女子に人気の鉱石です。疲労回復、リフトアップ、しみ、皺、睡眠他に効果があります。まぁ、宇宙の全女子に人気の鉱石ですけど加工や精製、流通なども考えると、実入りは丸儲けってほどにはなりません。儲かりには時間のかかる鉱石ですね。物は悪くありませんから検討すべき鉱石ではあると思います。以上。」 「はい、要検討の鉱石ね!」 「んじゃ次はテフテフ」 「わたしの仕入れた情報は、ダル・ゴールドです。ミネラルロードからは若干外れますが、北西宇宙に向かって4.5光年程の惑星ババショフ。産出量は最低でも8億ギガトンの算出が見込める様です。相手の男はこのピックル星の古参の情報屋、黄昏れオーバックの異名を持つ、ダダ・オーバック。発汗量、心拍、瞳孔の動き、しゃべり他、異常はありませんでした。情報屋ガイドの調査からも怪しいところは無いかと思われます。」「ダルか。精製は楽だし産出量も多いが、俺の報告を聞いてから、皆んなの意見を聞きたい。ここから東に3光年の距離にある、ベクターって星がある、その衛星がヌモース。そこは以前はタングステンの採掘星だったが、掘り尽くされた。残ったのは、超高度のタングステンの中核だから、機械掘りはできないそうだ。だがその下にシードダイヤが眠っているって訳さ。いま、マザーとロボコンが調査に行っている。地質調査と弱点、埋蔵量はロボコンがデータを送ってくるだろう。さて、皆んなの意見を聞きたい。」シューリッツが「俺のトルマリンは却下、テフテフのダルゴールドか、キャプテンのシードダイヤだけど、利益だけみたらキャプテンのシードダイヤだけど、安全性はテフテフのダルゴールドだなぁ」 マーバロンは「それともう一つ、契約期間が付いてる。仲介者の話じゃ、穴を開けたのは良いが、契約期間切れって事で追い出されて、ダイヤは持ち主のものって事にもなりかねないらしい。だから皆んな二の足を踏んでる様だ。」デルキャンプは「だったらダルゴールドでいいんじゃね。」JJが、「だけど掘り出せれば儲けは10倍だ、それに金の市場は乱高下してる、それこそ見極めが必要だ。」 「他に意見は無いか?」テフテフが「やはりマザーとロボコンの情報を待ってからでしょうね。」 「分かった、明日の朝には報告が上がってくるだろう。明日、もう一度ミーティングだ。それまで、ゆっくり休んでくれ。お疲れさん。」解散となった。マーバロンは「フラワー。下で飯を食おう。テフテフも話し相手に、付き合えよ。」と言って階段を降りた。窓際のテーブルに陣取り料理と酒を注文して。「テフテフ。シードダイヤはどう言う構造かわかるか?」「ダイヤになる一歩手前の状態ですね。例えば5万気圧の圧力があったとしても時間が足りていないとか、そういう状態の物ですね。」「さすがスーパーAI頭脳だ」「キャプテン、圧力はかけられますが、時間はどうするんですか?」「まぁ、公にはできないが、亜空間。つまりアルクビエレドライブの要領で時空をゆがませ、それを繰り返し、時間を稼ぐんだ。」「そんな方法が」「まぁ危険は伴うが・・」そこへJJ、デルキャンプ、チョン、タケチヨがやってきた「キャプテン、ロボコンからデータが送られてきたアルヨ。いけるかな?」 早速テーブルで各々データを開いている。環境面には問題はないが、やはりどこから掘るかに尽きる。現地を見るまでは分からないが、ドリルで穴を開ける方法は時間がかかり過ぎて得策ではない。硬い鉱石に対してどんなアプローチをかけるのかは何通りかの方法があるが、超高度タングステンが一筋縄ではいかない硬さを持っていることに対してマーバロンが考えているのはソニックで柔らかくしてから穴を開けるのが早いだろう。何通りもの高周波から低周波までの音波の振動で中核の弱い部分にアタックすれば突破できると考えている。更に長周期のゆっくりとした振動で長く揺らせば中核の地盤は崩壊するだろうと頭の中だけで考えていた。「ボス、ここの飯、美味いゴフ。スパイスの配合とバランスが素晴らしいゴフ。」とタケチヨはご満悦だ。それに犬みたいに食べる様がウケる。皆、満足そうに食べているが、やはり飯時に見栄えがいいのはデルキャンプだ。6本の腕を使って、パンをちぎりながら、スープをすくい、ナイフとフォークで肉を切り口に運ぶ。その様を見ていると頭脳は一つなのに器用だなと感心する。シューリッツは細い口で吸い上げる様に食べる。だから、肉も野菜も細切れにしてもらっている。JJには、食事用の防塵マスクがあり、口のところが開いていて食事はできるが、鼻と目は防塵マスクで覆われている。先日、ノーマスク姿を久しぶりに見たが、男前だった。なぜ顔を隠しているのだろう?分からん。1番普通なのがチョン・チャン・チュンだ。だが、なんだかそれがイラつく。酔っ払った勢いで言ってみた。「なんだよチョン!お前だけ普通に飯食ってんじゃねえか、なんかあるだろ、ええっ!」「キャプテン、何言うか。普通がいいアルヨ」「つまんないんだよ。なんか、食い芸みたいのは無いのかよ」「キャプテンも普通アル、変な言いがかりはやめてほしいヨ。」「生意気な!お前は今日から、チョン・チャン・チュンじゃ無くて、アン・ポン・タンだ、つまんないから今日からアン・ポン・タンと呼ぶ!」皆んな一斉に笑い出した。「そんな理不尽、許されないアル、それにチョン・チャン・チュン我が国では伝統的に由緒正しい名前。素晴らしいアルヨ。アン・ポン・タン要らないネ。」「それじゃあ、トン・チン・カンはどうだ!」JJが口を挟む「マン・キン・タンはどうですか?」「俺はサン・サン・シンがいい」とタケチヨも口を挟む。チョンは「JJ、お前にだけは名前の事を言われたく無い。俺の事をそんなふうに呼んだら、お前の事はマーラー・タンジャオ・シャンジャンと呼ぶ」マーバロンも「俺はJJの新しい名前はムシャノコウジサネアツがいい」テフテフが「ワタシも言っていいですか、ワタシはピーター・バンデン・ホーヘンバンドに1票」シューリッツは「俺はマルチェロ・マサトラヤンニに3,000点」「ちぇっ。いつの間にかすり替わっちゃってさ、第一、マーラータンジャオシャンジャンは人の名前ですら無い、調味料じゃ無いか!」マーバロンは「JJ、甘いよ。話の潮目、変わりどきを見極めなきゃ。さぁ今日はお開きだ。明日はブラックバードが帰ってくるからマザーとロボコンも混ぜて答えを出そう。お休み。」皆、それぞれ部屋に戻って行った。
