BLOG

wander 山師 惑星デュラン 1

  1. 私小説
2026/10/01

アルクビエレドライブから解放されたようだ正常運転に切り替わるその時が、いつも気持ち悪い。睡眠装置のハッチを開き、上体を起こして欠伸をしながら伸びをした。他のみんなも各々伸びたり、欠伸をしたり、まだ起きて来ない者もいる。「チョン・チャン・チュン位置はずれてないか?」 「キャプテン、大丈夫。私のオートドライブセッティングずれてないアルヨ。もう目の前、惑星デュラン。モニター見て」大型のモニターに映し出されたのは灰色の巨大な惑星だった。「シューリッツ、ここは被り物(防護服)が必要だったな。」 「ああ、被り物無しじゃ30秒と持たないぜキャプテン」 「チョン・チャン・チュンあとどれくらいでデュランに着陸できる?」 「目の前見えてるけど、18時間カカルネ、着陸マエニ、朝飯タベルネ。」 「タケチヨ。起きてるか?朝飯に取り掛かれ!」 「わかったでごふ、ボス何喰いたい?」 「いつも通り、ご飯、味噌汁、卵焼き、後は漬物と焼き海苔。納豆忘れんな。」 「イエッサー、ボス」「jj、フラワーはまだ?」 「ハッチで寝てる」 「ったく、寝坊助だな・・・」ブレイクルームに歩いて行くと開いたハッチにフラワーは横たわっている。額に張り付いている前髪をそっと横に撫ぜつける。その額にキスをした。ただただ美しい。「さあフラワー、もうすぐ朝食だよ、そろそろ起きなきゃだめだよ。」「ダーリン、今日の朝食は何?」「いつもと同じさ、ご飯と味噌汁と納豆、それから卵焼きに焼きのりだよ。」「やだ、あたし、ダーリンがいい!。」「まだ、ダメだよ。もっとおいしいエサを与えて脂がのったら食べようね。」 「ヤダヤダ、もうそろそろダーリンが食べたい。だっていい匂いがするんだもん」 「フラワーは養殖って言葉を憶えているかい?例えば美味しい魚を食べるには、捕まえてすぐに食べても美味しくないんだ。美味しいエサを与えて脂がのって、太ってきたら食べるんだ。美味いぞぉ」 「そのままじゃ美味しくないの?」もちろん食べられるよ、フラワーも今までたくさん肉を食べてきたでしょ、だけどあんまり美味しくなかったって言ってたじゃない。それはね、熟成できてないから美味しくないんだ。確かに若い肉は柔らかくて、それはそれでいいが、熟成は温度と時間をかけて待たないと美味しくならないんだ。」 「どれくらい待つの?」 「あと30年くらいかな?なぁにフラワーならあっという間さ。ほら、匂いを嗅いでご覧。」 「あぁ、すごく美味そうな匂いがする。」 「わかるかい、この前よりもいい匂いになったでしょ。熟成が進んでるよ。その時はフラワーが一人で全部食べていいからね。」 「うん、ダーリン、あたし一人で全部食べるの楽しみ。」 「さあ、不味いけどタケチヨの飯を我慢して食べようね。」 「うん、アタシ、タケチヨの不味い飯を我慢して食べる」

全員が食堂に集まっていた。全員と言っても7人しかいないが「諸君400時間ぶりの飯だ、楽しんでくれ、後17時間後には惑星デュランに着く。被り物が必要だ。掘り出し物があるといいが・・・」タケチヨが「掘り出し物はデルキャンプの専売特許だ。」デルキャンプは「キャプテンの掘り出し物は土の中じゃないぜ、今回はアンドロイドだろ?キャプテン。」チョン・チャン・チュンも「それとドロイドも一台。」 「良いで物があるといいけどな、まぁ、始めるか、いただきます。」朝食が始まった。

「チョン、マザー(AI)は何て言ってる。」 「異常はないようです。」「よし着陸態勢に入るぞ」・・・無事着陸できた。jjが防塵マスクの下から、何やらもモゴモゴ言っている。「jjはっきり喋れ。」デルキャンプが変わって言う。「お前らもマスクしろだって」「大丈夫だよ、被り物(シールド)があれば、jjは神経質なんだよ。」「よし、留守番はシューリッツだ、頼むぞ。」「イエッサー」シューリッツ以外の5人は移動用のドロイドに乗り込んだ。デュランには大きな都市がいくつかあるが、廃棄物の星というイメージがあるせいかあまり発展していない。近隣の星からの廃棄物も受け入れているので、ちょくちょく驚くような掘り出し物がある。メカニカルな事とAIの良し悪しに精通していない俺には、チョンの様なメカニックは大いに役立つ。砂埃であまり前は見えないが、被り物に守られているので余り気にいならない。「デルキャンプ、タケチヨと食料の買い出しを頼んだぞ。俺たちは掘り出し物を探してくる。」「了解」二手に別れた。街の外れにスクラップ置き場があった。歩いて行くと「よお、マーバロンじゃねえか、久しぶりだな」スクラップ場を取り仕切るシワイブが声をかけてきた。「あぁ、シワイブ元気そうだな。」「何とかやってるさ、ところで何を探してるんだ。」 「俺は山師だぜ、いいドリルとお買い得なショベルがあればと思ってな。」「ドリルは良いのがあるぜ、ショベルは気に入るのがあればいいが・・・ところでサイゾウの親父はどうした。」「肺気腫で5年前に死んだよ」シワイブは顔を引き締め「そうか、残念だったな。あんなすごい山師はもう出て来ねえだろうな。」「・・・じゃあ、ドリルを見せてくれ、jjとチョンはいいショベルが無いか見ててくれ」「おい、マーバロン、後ろの女はお前のこれか?」シワイブは右手の小指を突き立てた。「あぁ・・・紹介しよう。妻のフラワーだ。」「初めまして、フラワーと申します。よろしくお願いします。」「あぁ、どうも。私はデュランのシワイブと申します。フラワーさん、よろしくお願いします。私はマーバロン君とは長年の付き合いで、もうこちらで取引を始めて・・・」「ダーリン、あたし喉が渇いた」「シワイブ何か飲み物があるか?」「ああ、建物の中でライムソーダはいかがですか?」「頼むよ、シワイブ。俺はぐるっと回ってみるよ、フラワーを頼めるかな。」「もちろんだとも、ゆっくり見ておいでマーバロン君」フラワーを置いてその場を離れた。急いでjj達と合流して聞いた。「出物があったか?」「いや、良いものは無い。」「そうか・・・」フラワーの頭の中に語り掛けた。「いいアンドロイドが無いか聞いてくれ。」「オッケー」フラワーは「ねえねえ、、シワイブさんの所に、良いアンドロイドはないかしら、私ね、メイドのアンドロイドが欲しいの」シワイブは「ありますとも、とびっきりのが。見ていきますか?。」「えっ、そんなの良いんですか?」「もちろん、さぁどうぞ」フラワーはマーバロンの頭に話しかけた「ダーリン、あるってさ!あたし見てくるね。」「頼む、それから新型のAIが搭載された万能ドロイドと攻撃用のパーツがあるか聞いてくれ。今すぐチョンをそっちに行かせるから、頭に映像を流して楽しませておいてくれ」「了解。頭の中お花畑にしてエッチな画像見せて値切るからね。うんって言わなかったら食べていい?」「まあ、なるべく食べない方向でお願いします。」「ちぇっ、つまんないの。んじゃ後でね。」「チョン、フラワーが頭に映像流してるから、その間にアンドロイドを見繕ってきてくれ、急いでな。」「あいよ」チョンはシワイブが保管しているアンドロイドをチェックした。新旧ごちゃ混ぜの中に、両手足の無い一体を見つけた。どうやらAIは新しいモデルのようだ。修理には時間がかかるが手足よりも頭脳だ。チョンは「キャプテン、いいのがあったアルヨ。」「了解。フラワーに詰めさせる」と言って通信を切った。買い出し組のデルキャンプに「飯の買い出しは済んだか?」と聞くと「タケチヨはこだわりが強いから、今終わったとこさ。」「どうかしたか?」「いいヒューマノイドが手に入りそうだ。悪いがデルキャンプ、こっちに回ってくれ。」フラワーが探り出した情報からアンドロイド、ドロイド、掘削工具、各種パーツを選び出した。ただ適正な価格で購入できるよう脳内コントロールを施してもらった。正式な売買契約書にサインをして船に戻った。

俺の名前はマーバロン、山師だ。広い宇宙であらゆる鉱物、金属、宝石の鉱脈を掘り当てる事が才能だ。鉱物は砕いたり、潰したり、濡らしたり、火をつけたり、土の中から掘り起こして様子を見る。鉱物は匂いがするし、味もある。そして鳴き声が聞こえてくる。掘り当てるなら、それを聞き分けられるかだ。その宝石や鉱脈を誰かに売りつける、だから財はある。だが山師は嘘をつく、嘘か本当かわからない嘘をついて惑わせる。その山師のマーバロンが目をつけたメンバーが鑑定士のシューリッツ。(双眼鏡のような目を持ち)遠くも、極小な物質まで見分ける事ができる。鉱物を掘るのはデルキャンプ(6本の腕を持つ)の仕事だ。道具はスコップ、ツルハシ、手動式ドリル、複式ショベルなど。鉱物研師のジェイミー・マンバ・ヘンドリックス・ジュニア(通称JJ)いつも、防塵マスクをつけているので素顔を見ない。飯炊きのタケチヨ(いつも口から舌が出ている。)整備士兼パイロットのチョン・チャン・チュン(チャイニーズとどっかのハーフだそうだ。)そして、唯一の女性乗組員がフラワー(フラワーはあだ名)だ。本名はゴキュとかゴアっていうゲップみたいな可愛くない名前だった。単なる音だった。だが、宇宙一美しい。何故宇宙一美しいのか?それは相手の好みが瞬時にわかり、その網膜に映像を映せる能力が備わっているらしい。だからこのだだっ広い宇宙の中の誰も(オス)が彼女を一目見れば、自分の種族、自分の好み最高の相手が見える訳だ。そして食べられる。フラワーいわく、「美しさは食べ物を引き寄せる」だそうだ。フラワーは食っているが、彼女に言わせれば、「食ったら、消化するか、別空間に飛ばすだけだ」と言う。その技は”スペースジョウ”彼女の食事はその無限に広がるジョウ(アゴ)でどんな大きい肉「あらゆる宇宙の種族)をも(肉以外も)食べることだ。

一目見た瞬間、恋に落ちた。彼女と目があい、互いに挨拶を交わしたが、彼女は涎を垂らしていた。名前を名乗った。「マーバロンと言います。」彼女はうっとりとした目で「いい匂いがする、美味そう。」と言った。「?美味そう?私を食べるんですか?」 「食べたい」 「そこで俺は考えた。「わかりました、先ず私の話を聞いてください。あなたの名前はよく聞き取れませんので、あなたの呼び名をフラワーとつけていいですか?それから、もう一度私の匂いを嗅いでください。」クンクン「ああっ、なんていい匂いなの、むしゃぶりつきたい!」「フラワーさん、なんで私がこんなにも美味そうな匂いがするかわかりますか?」 「分からないわ」「それは私が脂がのっているからです。わたしは良いものを食べているので脂がのっています。例えば、養殖という言葉をご存じですか?これは美味いエサを与えて大きく太らせてから食べることを言うんです。いいでしょう、私を食べてください。ただし、少し時間をいただけませんか?これからもっと時間をかけて育てれば、ますます美味しくなります。」 「どれくらい待てばいいの?」 「ざっと30年ほどですが、いかがでしょう?今まで食べた事が無いほど最高に美味いですよ。」「それだけでいいの」 「もう一つ・・・私の用心棒兼・・・・」と言う訳で、以上7名がボールザイオンのメンバーだ。宇宙船ブラックバードで気ままに旅をしながら鉱物を見つける風来坊暮らしだ。