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昔、大蓮華山と呼ばれた山へ 後編

  1. 春夏秋冬
2026/07/18

夜明け前に窓から外を見た。うっすらと稜線が見えるその景色に朝焼けは確実と思えた。静かに着替えを済ませ、モルゲンロートに染まった山々に期待を膨らませて表に出た。剱岳の先端にポッと桃色の火が灯った。立山にも別山にも火が灯されていく。遠く槍ヶ岳も奥穂も淡い火が灯されていく。そうして足元の杓子岳も鑓ヶ岳もピンクの光に染め上げられている。

     

息をのむような瞬間が刻一刻と変化していく様は、この山行一番のメインイベントだろう。朝焼けがピークを過ぎたころ引き上げた。他に撮影者がいないのが不思議だ。なぜ?

さて、飯だ。白馬山荘の朝食は5時スタートが一番早い。もちろん5時にいただくために食堂に駆け付けた。昨夜は隣部屋の女性のお喋りと、同室男性のイビキであまり眠れなかった。だが、昨日よりはいくぶん体調はましになった。とりあえず朝食もしっかりとれたので元気が出た。すっかり日が昇った山荘を後にして、まずは白馬岳を登り返した。私より前を行く人はいないのでゆっくりと下山を楽しむことにする。山小屋周辺には植物保護のためロープが張ってあり、高山植物が保護されているが、特にウルップソウは畑のようにたくさん咲いていた。

もちろんその事はとても大切なことだが、ガレた登山道にそっと咲いている花々が私の好みだ。6時過ぎには下山をスタートさせ、誰もいない登山道を一人行くのは、この景色を独り占めにしている様で、これまた格別に良い。

小蓮華に着いた時、ようやく一人の登山者が登ってきた。あいさつを交わし、景色や頂上までの時間を大雑把に話した。その時はもうすでにガスが沸き始めていた。その青年にそこから見える山を指さし、あそこに槍ヶ岳が見えているし、頂上からは杓子、白馬鑓は目の前だと伝え、互いに気を付けてと交わし、上下に分かれたが、これから登っても抜群の景色は期待できないだろう。気温も高めの15度、沸き立つガスのスピードもあまりにも早い。少し悪い気がしたが仕方がない。ときどき白馬岳を振り返りながら余韻を楽しむように歩いた。名前の分からない植物が黄色い花を咲かせている。

下りがけだから気付いたのだが、小蓮華と船越の頭の間に雪のプールがある。足跡がついているので雪の上を歩いて楽しんでいる人もいるようだ。

白馬大池が見えてきた。大池の少し上に、登りがけに目を付けておいたコマクサの群落にもう一度行ってみる。それを過ぎて大池を更に下れば、そこからは緊張を強いられる樹林帯だ。

       

昨今、巷では熊のニュースは後を絶たないし、デコボコの濡れた石は本当に疲れる。最後の楽しみは蓮華温泉の湯だ♨。今回も怪我無く無事に下山できたことを山の神様に感謝しよう。アディオス・アミーゴ!