BLOG

wander 山師 夢の後先 8

  1. 私小説
2026/10/19

ミュールと言うアンドロイドを通じてゾークと話した。「お前、マーバロンの所のアンドロイドか、」「はい、テフテフといいます。マーバロン様より、ゾーク様の所で情報を集めろと言われました。」「後ろの二人もクルーか?」「はい、そうです。」「テフテフ、後ろの2人に伝えろ、テーブルで待てと。それから、マーバロンの話やダイヤの話も一切するなと・・いいか。そしたらお前は奥に来い。」「了解です。」デルキャンプとタケチヨにその事を伝えて、店の奥の部屋に入った。テーブルに着くと今どきと思われるような、紙とペンを出し文字を書いた”キューマがお前のボスを探してるぞ。マーバロンは一粒残らずシードダイヤを持ち出したんだろ。”ゾークは人差し指を口に当てて、声を出さない様に仕草で伝えた。テフテフは声を発せず、ただ頷いた。それからゾークは紙に時間と場所を指定した。テフテフは見張られてるか、盗聴だろうと思い、記憶して紙を燃やした。そして静かに部屋を出ていった。デルキャンプとタケチヨに目配せをして店を出た。いったんエンビ(船)に戻ってデルキャンプとタケチヨにその事を伝えた。「今夜、ゾークさんと会ってくるが、かなりヤバそうだ。それで相談なんだが、2人はエンビで待機してくれないか。私はアンドロイドだから良いが、2人は生身だ。まだ死にたくないだろ。」「なに言ってんだよ、それじゃあ何の勉強にもならないだろう。せっかくキャプテンがテフテフについて学んでこいってくれたチャンスなんだから行くよ。」「俺も俺も!行くでゴフ」「わかった。だけど、武器を携帯して。使ったことある?」「あるわけ無いだろ、俺は鉱夫だぜ、スコップやドリルならお手のものだけど、レーザーガンやライトセーバーなんて使ったことが無いからな。」「私はデルキャンプさんは才能があると踏んでいます。例えばお食事中、ナイフとフォークを使いながら、ビールを注いで飲み、お尻を掻く。こんな事は普通は出来ません。まったく違う事を同時に複数やっているのです。それは我々アンドロイドに近いとも言えます。タケチヨさんは集中力の人とキャプテンが褒めておられました、一点集中の才能です。ですからお二人ともⅤRシミュレートと同時に短期間で効率的に学習できる、時短の部屋に二人とも入ってください。付け焼刃かもしれませんが、やらないよりましです。いいですか?」「やろうぜ、タケチヨ!」「面白くなってきたでゴフ。」これも、亜空間を利用した肉体型、シミュレーションシステムのひとつだ。二人が部屋に入っている間テフテフはキャプテンに連絡を取った。現在の状況を報告し、指示を仰いだ。マーバロンの指示は的確だったが、状況に合わせて柔軟にというありふれたものだった。しかし同時にテフテフもそれしかないだろうと思えた。あっという間にシミュレーションの終了時間が過ぎて、二人が出てきた。精悍な顔つきになった二人に、マーバロンの指示を伝え、エネルギー補給のサプリメントを口に入れた二人とゾークの指定した。店に出かけた。

派手なネオンの入り口には屈強な警備のアンドロイドが2体、入り口で睨みを効かせている。ゾークと20時に約束していると告げると、顎をしゃくって中に入れと促された。入り口の暗い扉を開けると中は大音量の音楽と目の絡むような光の洪水が変則的にグルグルと回り、踊り狂っている者や、カウンターで好みの相手を口説いている者、VIPのグラスルームで薬や葉っぱを楽しむ者もいる。ドレスアップマスクとグラマラスボディアタッチメントでビルドアップしたテフテフを男達が目で追う。腰をくねらせて奥へ進むテフテフの前に薬でラリった男が飛び出してきた。テフテフは「坊や、お休み。」と言って男のアゴを掴んで唇を突き出し、キスのふりをしてアゴを弾いた。男は膝から崩れ落ち床に転がった。それを見た男達は奥へと進むフロアの真ん中を開けた。扉の前に立ちノックして待った。扉が開いて強面の男が入れと告げた。そこは打って変わって薄暗い部屋だった。奥のテーブル席にゾークが座っていた。歩み寄り「お待たせしましたゾーク様」「テフテフって言ったか?悪かったな、出向いてもらって。座ってくれ。」デルキャンプとタケチヨも着席した。「ボールザイオンは派手にやってくれたな。シードダイヤを一粒残らず運び出すとは恐れ入ったぜ。だが、あの後は大変だったんだぜ、俺は明け渡しの連絡をキューマに入れたんだよ。キューマはヌモースに直行したらしいんだが、ダイヤは一粒残らず掘り出されて、星はもぬけの殻、アイツ俺の所に怒鳴り込んできて、マーバロンはどこだって!カンカンだったんだぜ。」「それは申し訳ございませんでした。しかし、キャプテンは正当な報酬を払い、限られた時間で掘り出したのです、何の問題も無いと思われますが。」「それだ!あの状態で完全掘削を完了させる事なんて誰も想像してない。だがダイヤは欠片も無かった。マーバロンとボールザイオンはそれをやって退けた。マーバロンはどうやったんだよ。」「それは私の口からは申し上げられません。」「・・・わかってるけど気になってなぁ。まぁいいや、恐らくだが、まだ見張られている。ここは危ない店だがセキュリティはしっかりしている、金さえ払えば安全は保障される。それで話は何だ。」「お分かりかと思いますが、ダイヤの売買です。販売さきを探しているんですが、お心当たりありませんか。」「こっちじゃダメだな。この東宇宙じゃキューマが睨みを効かしてる。奴はあれでも実業家だ、間違い無く横槍を入れてくる。テフテフ、中央宇宙方面へ行け。」「しかし、キャプテンからはミネラルロードに販売先があればと聞いてます。」「何で、ミネラルロードにこだわる、もうサイゾウの親父が実績を作ってんだから、ここじゃ無くても良いだろう。」「その、サイゾウ様は無くなりました。キャプテンはご自分の名で実績をお作りになりたいのかと推察します。サイゾウの弟子では無くマーバロンで。」「・・・わかった。ここから東へ向かって行くと、ダダラーブル星団がある、座標××××だ。そん中にトロンって星がある、そこにタダスダダスって酒場がある、そこでババロフって男を探せ。だけど、そのトロンはギャングの星だ。命が幾つあっても足りないってくらい、抗争がある、死なないようにな。」「お気遣いありがとうございます。」

店を出て、3人はエアバイクに跨った。市街地を高度を上げずに走り郊外に出た。その時、防御システムが警報音を発した。3人とも咄嗟に宙返りをしたり、錐揉みをして、攻撃を回避した。相手はエアーコミューターが1機、エアバイクが3機の陣容だ。テフテフは左腕に攻撃用パーツを取り付けた。エアバイクをセミオートパイロットにしてバイクの上に立った。エアーコミューターからレーザーガトリングガンの閃光が走った。もう一度、錐揉みで回避して拡散レーザー砲を放った。エアコミュータは爆発して無人の荒地に落ちた。交戦中のデルキャンプとタケチヨは何とか攻撃を交わしながら立ち回っている。タケチヨは背後を取られそうになっているが、勘が良いのか寸でのところで交わしている。テフテフはレーザー砲を撃った。火を吹いてエアーバイクは崩れ落ちた。デルキャンプはエアーバイクを運転しながら器用に銃をぶっ放している。精度はイマイチだが連射の攻撃が当たった。傾いた機体に落ち着いてレーザーガンを放った。他の機体は逃げていった。エンビに戻り、座標設定を行いオートで機体をトロンに向けて発進させた。通信を傍受されないよう、亜空間を通じてキャプテンに繋いだ。「と言う訳でトロンに向かいます。デルキャンプもタケチヨも怪我などはしていませんがゾーク様との打ち合わせの後、郊外で交戦になりました。恐らくキューマの手先かと思います。」「テフテフ、応援に行こうか?トロンはゾークが言う通りギャングの星だ。それにキューマの横槍もある。デルキャンプとタケチヨを守りながらの人探しと売買は難しいだろう。」「それが2人ともさっきの交戦で手応えを感じたらしく、もう一度時短の部屋に入りました。」「わかった、そのことも考慮して検討するよ。」テフテフの報告からもこの取引の難しさは想像できる。とりあえず残ったメンバーと相談してみようと声をかけた。「どうしたのキャプテン相談って。今いいとこなんだけど。」jjは何かに取り組んでいるようだが、「いや、テフテフから報告があって取引が難航しそうなんだ・・」ひと通りの流れを報告し、応援の必要性を考えている事を説明した。シューリッツが「jjは今、宇宙品評会にダイヤを出品するから作品を制作中なんだ。鑑定士の俺から見てもいいものが出来上がっている。キャプテン、jjはここで研がせてやってくれ。」「そうか、それは良い事だ、jjとシューリッツはここで頑張ってくれ。」チョン・チャン・チュンはどうだ。」「俺は行きたい!いや、絶対行く。」「なんだ、なんだ。張り切っているじゃないか、どうした?」「新しい武器が出来た。それで頼みがある。」「なんだよ、頼みって。」「ナンシーを連れて行っていいか?」「ダメに決まってるだろ、誰がこの星の保守点検をするんだよ。それに家事もある。第一何を企んでいるナンシーを連れて行くなんて。」「攻撃は最大の防御と言う言葉を知っているか?そうテフテフは攻撃型のアンドロイドでロボコンはマルチドロイド、そういう意味ではこの二体は攻撃を主体として守っている。だが、ナンシーはこの星で一人、主や仲間の帰りを待っているヒューマノイドだ。だが、守ると言っても能力の割には、この星にシールドのスイッチを入れるくらいしか守る方法がない。そこでだ外敵から自分、および仲間や環境を守るパーツを装着し、攻撃と言うより守り主体のコンセプトで開発してみたアルヨ。この星の防御態勢は既に強化しておいたので問題ない。だが自分や仲間は実戦で試してみないと分からないアルヨ。」「どんなパーツなんだよ。」「それをキャプテンに見せるためでもあるから、連れて行っていいだろ。」「おまえ、ナンシーは基本、メイドだ。テフテフみたいにパーツを装着してゴリゴリの戦闘マシーンはやめてくれよ。」「分かっている。だけど、メイド風ドレスアップならいいだろ?」「テフテフみたいな高飛車モードとかはいらないからな。あくまでエレガントにだ。」「分かってるよ。んじゃ、連れて行くってことで。楽しみアルヨ。」その時「あたしも行った方がいいだろ?」「フラワーはいいよ。ピルモの世話があるだろ。」「ううん、私行くよ!前に立つことはしないから連れて行って。最終手段と思って。」「ピルモはどうするんだよ、連れてはいけないよ。」「連れて行く。どんなことがあっても命に代えてもこの子は守るから。ね、お願いダーリン。」抱っこされてたピルモも「・・ねがい、ダーイン・・・パパ」と言った。