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昭和にはなかった登山道。

  1. 春夏秋冬
2026/02/05

雲の隙間から光の束が降り注ぎ、海面をキラキラと照り返して光っている。初めの急登を登り切った岩の丘からの景色がそれだった。

車で、大きな鳥居をくぐると、その先が登山口につながる。車を止め支度をする。今日も寒いが太平洋に面したここは、日差しがたっぷりとあり、いやな感じはしない。けれど外で支度をする気にはなれず、狭い車内でごそごそと身支度を整えた。

この山の登山口は神社本殿の脇にある。駐車場から本殿までの参道には屋台やおみやげ物屋などがずらりと並んでいるが、平日の10時には、まだ一軒も開いていない。という事で美味そうな屋台の恩恵に与ったことは一度もない。参拝者もいるにはいるが、まばらで、はしゃいだ感じもなく、信心深い方たちが本殿で二礼二拍手一礼の形式にのっとって静かに頭を垂れている。

獣よけの金網の扉を開け、緩やかな岩の道を登り始める。 いくつかの枝道を過ぎると、ざらついた一枚岩の急登に差し掛かる。その一枚岩を子細に眺め、どこが適切か見極め、コース取りを決め、一歩を踏み出す。真ん中からやや左に進み、今度は右に!滑る心配はないが、足の置き場を考えながら、更に直上。すぐそばまで来ると以外に安全な足の置き場がない。仕方なく真横に進み上を目指す。傾斜の強さに息が上がるが、何とかそこを切り抜ける。緩くなった傾斜の上から景色が開けてくる。まもなく最初のピークに差し掛かろうというとき、コーヒーのいい香りが鼻をくすぐる。上り詰めれば、独りの登山者がコーヒーを立てていた。

冒頭の光の束と海の景色の中に、その人は年季の入ったアノラックを羽織り、石に腰掛けていた。「こんにちは」、とお互い挨拶を交わす。たわいもない今日の天気や固形燃料の話などからするに、地元の方のようだ。そうするうちに、変な質問をされた。「昭和にこの山を登ったことがありますか?」と聞かれ、「いえ、ここ3年くらいです!」と答えると、「この山は昭和のころは登山道がなかったんです。平成になって、それまでは高御座山までは、道がついていたんですが、地元の人が草を刈ってコツコツと道を付けたんです」と教えてくれた。「ありがたい話ですね」・・・「そうなんですよ!それから地元の方たちが次々と登山道を整備して・・・」その人は、それ以前は道無きところを藪漕ぎをしながら登って、楽しんでいたと話してくれた。今は、たくさんのコースバリエーションもあり、今日、走破するコースは全長7,1km。しかし、思いを馳せれば、それを草を刈り、石をどけ、安全に上り下りが出来るようコースに沿って道しるべを施していただいた努力には感謝するしかない。2杯目のコーヒーが出来たようなので、丁寧にお礼を告げて、先に進む。

ここからは、アップダウンはあるが、景色を眺めながらの快適登山だ。鹿嶋神社から高御座山を経て、北山へ。舗装路へ下り、駐車場までの道のりが全行程だ。もう寒かったことなど忘れてしまった。前へ進もう!