仕事中いつも音楽が流れている。エアコンも効いていて快適だ。だがしかし、朝からずっと同じ曲が、頭の名がでグルグルと繰り返し流れている。
ふむ、これは、今に始まった事ではない。それはいつからこんなことが起こったのかは、もはや定かではない。そう、はるか昔、遠い昔から、私に起こる現象だ!
まだ最近のヒットチャートに上るおしゃれな曲ならまだしも、それはそれは、幼く、小さな私が覚えたのであろう曲などもある。実写版のヒーローものに出てくる挿入歌や童謡の類に至るまで幅広く、歌謡曲や演歌もある。
例えば、それは私がまだ子供だった頃、弘田三枝子という人が歌っていた、人形の家という曲だ。♪ほこりに~まみれた~人形みたい~私は~あなたに~命を預けた~♪などという歌詞が延々と一日中頭の中でグルグルと周り続ける。 ”困ったことだ”
だが、弘田三枝子はまだいい。もうそれは幼少の最初期の記憶だろうか、当時、大流行したであろう、牧信二のウクレレ漫談のメロディーにのせて・・♬あぁーああっ、やんなっちゃった、あぁーあっあ、驚いた「ニキビができたが、どうすりゃいいんだ・・・♬」こっちが聞きてーよ!一日中ならまだしも、3日も回り続けたら「どうすりゃいいんだぁ!」という事もあった。
だが、だが、だが。まだその歌ならいい。一番重かったのは、小学生だった頃テレビで、人造人間キカイダーという実写ヒーロー物をやっていた。どっかのダムか、何かの橋の上をサイドカーを付けた変身前の主人公ジローが走ってくる。「♪スイッチオン、ワン、ツー、スリー・・・♪」という主題歌が流れる。ふむふむ、いいではないか?と思われた方がいらっしゃるかと思う。ここからが、本題だ!オープニングやエンディングに流れる曲ではないのだ。悪のプロフェッサー”ギル(ハカイダー)”の登場時に流れる曲がある。「♪俺の名は、俺の名はハカイダー~俺のー俺の使命っ俺に宿命―!キカイダーを破壊せよ~♪」これには参った。延々一週間ほども昼夜を問わず流れ続けた。
ええっ?尾羽打ち枯らした、おっさんが、ハカイダーって!主人公ですらない子供向け番組の挿入歌がズーと流れる辛さ、何なんだ!バカヤロー。だが、どうすることもできない・・・ある時突然流れなくなることを待つしかない。
でもなぜだろう?なぜ突然大昔の歌などが流れるのか。私は注意深く自分の様子を眺め、その原因を突き止めるよう努めた。そんなある日、ぼんやりと、新聞の表紙を見ていたら、「アンモナイトの化石も多数展示」とあった。そのあといきなり、サディスティック・ミカバンドの「タイムマシンにお願い」の1節が流れてきた。「♪アンモナイトはお昼寝~ティラノザウルスお散歩A HA HA~♪」・・・これか!長い間謎だった、頭の中に現れる音楽は、ある言葉のキーワードで発現されていることに気が付いた。これは推測だが、ハカイダーのワードはどこかで、「破壊」という言葉に触発され、現れたものと思われる。牧信二は「嫌になった」であろうし、弘田三枝子は「ホコリ」なのか、「人形」なのか、はたまた「命を預けた」なのかは今となっては分からないが、何らかのワードに引っかかったと思われる。
わたしは、この発見に安堵した。長い間なぜこんなことが起こっているのかさっぱりわからなかったが、とうとう、見つけられたことに。もちろん、その音楽が流れていて、それが耳に着いたという事もあるが、今日も、また流れている。それは山崎まさよしの、ワンモアタイム・ワンモアチャンスだ。最近映画の挿入歌としてCMでながれている。言葉のキーワードから音楽が流れてくることは発見したが、だからと言ってどうやったら止められるのかは分からない。でも、今朝の山崎まさよしには少し安心している。想像してみて下さい。ハカイダーや牧信二は仕事に差し支える。頭がおかしくなりそうだ!できれば、仕事に差し支えのないものがいいが、目に映ったり、なんだか耳に残るワードは選べないのである「私’も’頭の中の消しゴムが欲しい!」いや、記憶がなくなるのは困るか?それでなくとも最近は物忘れがひどい・・・我ながら呆れてしまう。