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最終奥義!

  1. 春夏秋冬
2025/05/28

今シーズン最も暑い日となったその日、シーズン終盤の山菜を取りに出かけた。昨年もそうだったが、その高原には、この時期ならではなのか、林間学校と思しき子供たちが、大きな歓声を上げて野外活動を行っている。その子達を尻目に、そそくさと登山を開始する。

登り始めからすでに暑い。できるだけ木陰に入るように右に左に縫うように歩くが、坂道に汗が噴き出る。歓声は遠くなったが、急登に差し掛かり、洗い呼吸を繰り返す。ガレ場に差し掛かるころには木陰もなくなり、刺すような日差しに顔を上げることもはばかられる。だが、頂上はすぐそこだ。

頂上を目指す登山ではない今日の山に、目的の根曲り竹(俗称をスズコ)を見つけた。そう、春の終わり、夏の始まりの時期にしかいただけない、この筍が、山菜の中でも一番好きだ。葉ワサビ、コシアブラ、ウド、タラの芽など、たくさん山菜はあるが、こいつは格別!

タケノコ同様、皮をむいて食べるのだが。このスズコにも良し悪しがある!まずは太いものが良い。太ければ太いほどいい。長さは長ければいいというものではない。長いと穂先の方の柔らかいところしか食べられないので好ましくない。とここまでは、真竹や孟宗竹その他の筍と変わりない。まぁ、ふと短い(長さは20cmから25cm程度)ものが良い。

しかし、本題はここからだ!まずは見た目は緑一色の物より、穂先の方は緑で、根本の方は赤みを帯びているものが良い。いくら太くても緑一色の物は腰がない!要は歯ざわり、触感が緩いのだ。しかし赤みが強いものは硬い。と、ここまでは見た目のことだ。さらに奥義を言うならば、触感だ。触った瞬間に柔らかいものは中身があまり詰まっておらず、パキッと折れず、食べるところも少ない。

太短く(20センチ~25センチ)、少し赤みを帯びた緑で、触った瞬間にやや硬く、パキッと折れるものが好ましい。だが、それー!と掴んでポキッと折ってしまえば、それは”なんか違った”と思ってももう遅い。必ずお持ち帰りいただいて食べることこそが、採取した人の責任ですので、細かろうが硬かろうが柔らかかろうがお願いします。

しかし私は、名人の域に達していると思われる。30年以上培った山菜取りは、触った瞬間、違う、これは違うなとわかるわけです。名付けて、最終奥義”スズコ返し”(ビシッ)!なんだそりゃ~

もちろん登山道で会う人たちに奥義はおしえていません。昨日もいろんな人に聞かれた。私が袋に入りきらないもの(太いタケノコ)を手に持って歩いていると(それは根曲りだけですか?)とか(どうやって食べるんですか?)など等。しかし、スズコを採取している皆さん、皆さん根本的に間違ってますよ~。そんな細いものを取っても食べるところはありませんよ~。大きいものがどこにあるのか分からなければ、いつまでたっても皮ばっかり向いて、爪楊枝みたいなスズコを食べてていいんですかぁぁぁぁ?

最後にこのブログを見ている皆さんにだけ!お教えしましょう。親が大きい竹(スズコの親竹)に太く大きいタケノコが出来るのです。下ばっかり見て、筍を探している皆さんには一生無理。まずは上を見て、背が高く太い幹の親竹を見つけて(雪で親竹が倒れていることもある)、それから根元を見ましょう。他には山の標高(標高が高ければ時期が遅い)、山の斜面(南東斜面がいい)、日当たり、風通し、ですか。

これであなたもスズコ名人。さあ、シーズンは終盤。山へ急げ!