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柔らかく、柔らかく

  1. ドライカットの話+
2025/01/29

もうずいぶん長い間、ハサミを使ってきた。ハサミを使い始めた若かったころは、いつも鋭く正確にと、思いつめたように切っていた。時が流れていく間に、いろいろなことを経験し体験してきたことで、少しづつ変わってきた。もちろん体験してきたことの中には失敗もあるし、失敗も見てきた。ある先輩が、お客様に5センチ切ってと言われ、5センチを切った。ところが、お客様はこんなに切ってと頼んでないと怒りだした。丸くは収まらず、その後、数か月に渡って無料でセットをすることになるのだが・・・このことを目撃した私の心にはそのことが深く刻まれ、まだ技術者に成れていなかった私に、この問題をどう解決していくべきかを植え付けてくれた。後に技術者になった私は、確認という必ず行わなければいけない作業を毎回繰り返しているのだが、難しいことではない。お客様が5センチと言ったら、合わせ鏡でこれ位でいいですか?と聞いている。先ほどの例にもれず、もう少し上とか、もう少し下などとおっしゃられるわけで、人は皆それぞれ長さの感覚が違うという事だ。本当の5㎝は変わらないが、それぞれが思っている5センチは違うという事だ。

シャンプーのやり方も、ブローのやり方やブラシの使い方、色々なことを工夫してきたし、変えてきた。カットもその中にある。ただどうすればうまくできるだろうという事があり、その答えが、明日分かることもあれば、1年後か3年後か10年たってもわからないこともあった。私の性格(しつこい)なのだろうが、その答えを丸めて流すことはできず、どうすればという事を考え続けてきた。10年過ぎて、初めて分かった(答えが出せた)時の喜びは筆舌に尽くしがたいが、この性格が結果を生み出せたという事にも感謝したい。続けていく中で、時が流れていくうちに見えてくるものもあるという事だと思う。

ハサミも同じように鋭く正確にと思い切ってきたが、ある時から柔らかく柔らかく(ハサミに力が入っているとダメで、初めの頃はよく忘れた)今は曖昧に切っている。曖昧にといえば聞こえが悪いが、自然でブレンド力があることを考えれば、また、この事が必要である。さらに言えばハサミに限らず刃物は柔らかく使う方がいい結果になる。硬く使えば折れたり刃こぼれを起こす。

私も1回まわって、もうすぐ0歳になる。心も体も頭も柔らかく柔らかくありたいものだ。誰かや何かの役に立ち、”絶体”というようなこだわりは捨てて、柔らかく軽やかにこの先を進んで生きたい!

あなたのヘアスタイルが毎日健やかでお手入れが簡単でありますように。