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逆さカラス

  1. 春夏秋冬
2024/05/29

サカサカラス!なんだか、ふりかけの袋を振っているような響きだが,然にあらず。ゴールデンウイーク明けから水田に水が入った。つい先日、田植えも終わった。そうすると毎年そうだが、その水田に烏ヶ岳が映り込むのが逆さカラス。登るのも好きだが、この烏ヶ岳をこちら側から眺めるのも好きだ。以前から思っていたことだが、この山の山容は色っぽいのだ。裸婦が横たわっているような眺めは、どの季節も美しく僕を魅了する。山頂となる一番高いところが肩で少し左の稜線に盛り上がる部分が腰、そこからさらにすらりと伸びた足の 緩い盛り上がりがふくらはぎにあたる。春は若葉の入り混じる薄衣をまとい、夏は濃い緑のベールに包まれ、秋は赤や黄色のデザインワンピ、冬は白いシーツを被った姿になる。僕は1年中、犬の散歩とともにこの山を眺めるが、特にここからの景色がいい。ほかの場所からも悪くはないのだが、他から見ると武骨でやさしくないのだ。ここからの眺めはいつも僕をやさしい気持ちにさせ、この町に住んでいることを本当に良かったと心から思わせてくれる。もうひと月もすれば苗が伸びて、水田に映り込む逆さ烏ヶ岳は見えなくなるが、それはそれで伸び始めた早苗の向こうに見える初夏の烏が岳もまたすがすがしい。